2025年12月5日金曜日

復刻版「希望社時報」「泉の花」

 昨年から準備をしていた希望社の雑誌の復刻版刊行が始まった。琥珀書房からの刊行。どちらも幻の雑誌と言えるほどどこの図書館にはないけれど、全国に多くの読者を作り出していた雑誌でことにノンエリート層の読者を掘り起こしていくうえで重要な雑誌。





2025年11月25日火曜日

20世紀メディア研究所での報告

 11月22日に20世紀メディア研究所の研究会で「読書調査の戦前、戦後:『戦下の読書』の刊行まで」と題して報告。当日の発表は以下の通り。


和田 敦彦「読書調査の戦前、戦後:『戦下の読書』の刊行まで」

田島 奈都子「もう一つの大戦ポスターコレクションについて」

澤田 和彦「日露戦争のロシア人俘虜のニコライ主教宛書簡について―金沢俘虜収容所を中心に―」



2025年11月8日土曜日

異郷に遺された本たち

サンパウロ人文科学研究所でハイブリッドの形で「異郷に遺された本たち」と題して講演。研究所に遺る魅力的な資料にふれながら話をし、終わった後は集まってこられた方々と打ち上げ。以前来たときもそうだが、ブラジルはいろんな人達と食べたり、どこかに行ったり日々しているので、帰る日が近づくと大変さびしい。



2025年11月5日水曜日

遠藤家のご家族からの聞き取り

 サンパウロ人文科学研究所で作業をしながら、戦前の遠藤書店のことを聞いてまわっていたところ、研究所の細川理事が以前、遠藤家のビルのテナントであったことがわかり、仲介して頂いて、ようやく遠藤書店の創業者、遠藤常八郎氏のお孫さんにあたるネリーさんからお話をうかがうことができた。次の日曜日に遠藤家のお墓参りにご一緒させて頂くことに。


2025年11月3日月曜日

イピランガの博物館

 以前来たときには工事中で入れなかったというパウリスタ博物館へ。壮麗な建物、庭園で、展示内容も充実、屋上からはサンパウロの中心のビル街が一望できる。観光地としてはとてもすぐれているけれど、駐車場や駅がすぐそばにあるというわけではないので、行くのは少し手間だが、近くの独立記念公園もふくめ、見所満載でした。




2025年11月2日日曜日

サンパウロ大学でのワークショップ

 サンパウロ大学でのワークショップ。2週にわたって、「近代日本の読書調査とそのデータの生かし方 Reader Surveys in Modern Japan: How to Use the Data」というタイトルで行った。読書傾向調査の資料を用いた自身の近著をもとにしたワークショップで、戦前、戦中に読まれていた本や雑誌を、オンラインのデータベースなどを活用しながら実際に自身でそれらを見つけてみたり、疑問点を考えたり、というかたちで行った。





ミナス料理のアカラジェが気になっているという話をしていたら、アカラジェのお店に終わった後で連れて行ってくれました。

2025年10月17日金曜日

サンパウロ人文科学研究所での調査

サンパウロ人文科学研究所での調査をはじめる。今回はサンパウロ大学でのワークショップ、人文研での戦前から1950年代にかけての日本語雑誌の所蔵情報と総目次データ作成、そして戦前に書店出版事業をしていた遠藤常八郎のご家族を探して、遺っている資料を確認する、というのが主な目的。また、人文研でも調査にからめてお話をする機会をもつことになった。



2025年10月14日火曜日

ようやくサンパウロに

 以前は空港からのバスが宿泊しているホテルのすぐ近くにあったMasukudeというホテル前に発着していたけれど、このホテルは今は閉鎖されており、バスも前のように便利ではなくなっていた。けれど鉄道(CPTM)から地下鉄への連結はわかりやすくて安価(地下鉄料金のみ)でとても便利。



2025年10月13日月曜日

出国できず、大慌て

 6年ぶりのブラジル、出国でまずつまづく。しばらくアメリカには行っていなかったのでうっかりしていたが、トランジットのみでもアメリカの場合、電子ビザESTAの取得が必要だった。空港でチェックインのときに気づいて大急ぎで申請、けれど承認通知は間に合わず届いたのは約12時間後。便の変更手続きをして、シカゴ経由の便に変更してもらい、さいわい予定より一日遅れでサンパウロに到着予定。シカゴのO’Hare空港も久しぶり。



2025年10月1日水曜日

安積歴史博物館中学校資料調査

 今年2度目の安積調査。初日の調査が終わった日に、五十嵐書店の先代にお声がけしてご一緒することに。しばらく入院されて数ヶ月寝たままだったとのことだが、今は自身で歩けるまでにリハビリで回復されていた。


ちなみにこの日、よく使う高田馬場にあるロマーノという店に予約を入れていたのだが、間違って広島県福山にあるロマーノに予約をいれてしまっており、急遽お店を探したり謝ったりと大変な日となりました。

2025年9月21日日曜日

南伊豆への合宿

 4年生ゼミで南伊豆への合宿。卒業論文の経過報告を行った。貸し切りの別荘タイプで、夜は自分たちで何とかしなくてはならないので、報告もそうそうに買い出しと下ごしらえに。私もこれまで下田は来たことがあったけれど、伊豆半島のさらにそこから南ははじめて。弓ヶ浜のとなりの逢ヶ浜というところ。学生達は遅くまで飲んでいたが、私は早々に寝たので早起きして逢ヶ浜でシュノーケリング。



2025年9月11日木曜日

安積歴史博物館への出張

 年2回行っている調査資料の入れ替え作業のために郡山へ。郡山は朝の気温が東京と比べてかなり低く快適。東京に戻ってくるときに天気が急変、ものすごい雨に。とはいえ、無事、資料の入れ替えを完了。



2025年9月8日月曜日

『戦下の読書』をもとに県立長野図書館で講演

9月7日の日曜日、 県立長野図書館で講演。「これからの図書館フォーラム第2回【戦後80年特別企画「読ませなかったもの と 読ませたかったもの -戦時下における『読書指導』を通して『知る自由』を考える】講演会」。

近著の『戦下の読書』では県立長野図書館に遺る戦中の図書館文書を利用させて頂いた。それらの資料にもふれながら、「読書の自由を考える」というテーマのもと、「戦下の読書を〈調べる〉」というタイトルで話をし、質疑を行った。



2025年9月1日月曜日

松本市の夏期教育セミナーでの報告

8月末の土日は松本市の夏期セミナーで、安積歴史博物館中学校資料調査について、これまでの経緯や先週の研究報告会の様子などを含め報告を行った。



【1日目】

「深志の自治」から考える未来の伝統校: 井上義和

「伝統」を相対化するには:加藤善子

【2日目】

旧制松本高等学校と「自治」―『校友会雑誌』を中心に: 森いづみ

「生徒自治」から「生徒会」へ―占領期文部省の理論的展開を中心に: 猪股大輝

研究発表3 安積歴史博物館中学校資料の可能性

・調査のこれまで:和田敦彦

・今年の成果報告会のあらまし:田中祐介

・具体的な学校資料から:笠井香凜、出木良輔

2025年8月24日日曜日

研究報告会

 安積歴史博物館中学校資料調査の研究報告会。発表者が多いため、かなりタイトなスケジュールで報告。ひさびさのウェビナーで操作にとまどうこともあったものの、無事に予定通り終了。外部からもいろいろな方が視聴して下さってありがたい。博物館が再開した折にはぜひ館での公開発表会も行いたい。



2025年8月5日火曜日

安積歴史博物館中学校資料調査 研究報告会

安積歴史博物館所蔵の旧制中学校資料について、2022年度から行っている調査の研究報告会(リテラシー史研究会、「近代日本の日記文化と自己表象」研究会共催)を予定。

安積歴史博物館中学校資料調査 研究報告会
日時:2025年8月23日(土) 13時より
報告:
和装本の蔵書構成概観(天野聡一)
明治期における福島県中通り中南部の書籍文化環境 堀川古楓堂を中心に(松永瑠成)
『扶桑の花』小説欄における教育の諸相(出木良輔)
『校友会雑誌』における修養論と中学教育(和田敦彦)
『校友会雑誌』『安積野』におけるドイツの表象と言説(西田昌之)
祝辞に見る中学校教育 明治30年代から大正期に注目して(加藤優)
学級日誌から見る授業様相 戦中『学級日誌』をもとに(笠井香凜)
教員たちによるインフォーマルな互助体制 「茶話会」関係資料から(新藤雄介)
敗戦後の日誌資料群から見る進駐軍政策と教育改革(田中祐介)
*各タイトルは、当日若干の変更があり得ます。

参加ご希望の方は以下よりご登録ください。

2025年7月19日土曜日

『戦下の読書』の刊行

 講談社メチエから『戦下の読書 統制と抵抗のはざまで』を刊行(しているはず)。オーストラリアなのでまだ自身では現物を手にしていない。以下のような内容。5月に樹村房から刊行した『読書調査の歴史と資料』が読書傾向調査のいわば資料編のような感じで、今回出した本は考察、論考編という感じになる。個人的にはこの調査を通して農村や工場でのノンエリート層の読書がいろいろと見えてきたことで気づかされることが多かった。

はじめに 思想統制という幻像
序 章 読書は国家のために?――読書調査と思想統制
第一章 子供は見てはいけない――「悪書」の誕生
第二章 勤労青年は何を求めたか――娯楽と修養のはざまで
第三章 銃後女性の読書とその動員――忘れられた小説と忘れてはならない小説
第四章 ファシズムとエリート学生との回路――愛と認識との行方
終 章 読書を掘り起こす――「見えない」読者を追って
おわりに 読書傾向調査の系譜



2025年7月18日金曜日

キャンベラでの調査

今週はメルボルンからキャンベラに移動し、オーストラリア国立図書館での調査。Menzies図書館で現在、日本語図書を担当しているFriedericさん、そして、それ以前に日本語図書を担当されていたMiyuki Matthewsさんとで話をうかがう時間を作って頂いた。さすがに所蔵資料は豊富で、日本語の雑誌には日本国内で所蔵のない資料も。また同館の大学アーカイブズで準備してもらっていた文書資料を閲覧、撮影。ただ、なかなか東アジア図書に関するまとまった資料はあまり見つからない。


キャンベラはだいたい歩いて行ける距離で国立大学や国立図書館、戦争紀念館などが集まっている。戦争記念館はかなり力を入れて作られており、第二次大戦では対日関係の展示に大きな割合を割いている。特にシンガポールの陥落や、当時の日本に対する脅威に関する説明や資料の展示が目を引く。




2025年7月6日日曜日

ブリスベンでの調査

先週はブリスベンに移動、クイーンズランド大学の図書館での調査。日本語図書についてはアウトリーチライブラリアンのフェリシティさんから話をうかがい、大学アーカイブズで資料調査を行った。サンタルチアにあるキャンパスは水上バスの終点にもなっていたので、大学へは船で行き来。




2025年6月25日水曜日

「個人向けデジタル化資料送信サービス(個人送信)」についての要望書

日本近代文学会の理事会が、国立国会図書館が行っている「個人向けデジタル化資料送信サービス(個人送信)」が海外在住者にも開放されるよう、要望書を提出。同会のサイトで要望書を公開している。海外の日本研究者、研究機関の環境を大きく改善してくれるこのサービスの拡充、開放が少しでも前進すればと思う。

2025年6月19日木曜日

シドニー大学での調査

メルボルン大学と同様、歴史の古い大学なので校舎を見に観光客も多く訪れる。大学のFisher図書館で担当のエミリーさんに話をうかがった。ただ、この職についたばかりということで、図書館の日本語資料についての古い時期の報告書類についてはいまだ調査中。大学関係の文書についてはアーカイブズが電子化に力を入れてきたようで、かなり充実している。



シドニーには国際交流基金の図書室もあるので、そちらにも調査に。長く司書をされている矢田さんから話をうかがうとともに、主に基金のオーストラリア国内図書館の支援に関する資料を収集。空港と町が近いうえに電車もクレジットカードのタッチのみ、という感じでずいぶん移動が楽で助かった。


2025年6月13日金曜日

メルボルン大学での調査

メルボルン大学のBaillieu図書館での調査。メルボルンではもっとも古い大学で、1853年の創設。日本語図書についても東アジア図書館が活動してきた。歴史のある大学だからか大学アーカイブズがかなりしっかりしており、文書も数多く探すことができた。何より、東アジア図書館が過去の業務文書を5箱、まるまる保管しており、大変助かった。また来て、細目を作ることに。また、現況についてうかがうために同館のシャオジューさん、ジョンさんと会合。




2025年6月4日水曜日

メルボルンの住まい


セントキルダという町で部屋を借りた。あまり詳しく知らないでこの町を選んだけれど、この町を選んでよかった。ビーチに面した美しい町で、中心のビジネス街からはトラムで30分ほど。いくつものトラム路線が走っていて交通の便もよく、空港と町を結ぶバス路線も通っており、空港ターミナルから40分ほどで部屋にたどりついた。カフェや劇場、スーパーなどが至る所にある割に静かで、広々とした公園や海岸をみなジョギングしたり散歩したりと、とても過ごしやすい。海岸は絵はがきのようにきれいで、埠頭にはペンギンの巣穴もあるという。


2025年5月20日火曜日

調査の初日

着いた翌日、さっそくモナシュ大学へ。受け入れ先となってくれたTrefault先生とお昼を一緒に。戦争記念のいわゆるAnzac dayの話やメルボルンの飲食の事情までいろいろと楽しくうかがえた。Trefault先生は残留日本兵の研究で博士号をとり、著書としても刊行されている。写真はメインライブラリであるMatheson libraryでAgian collectionは1階にある。



2025年5月19日月曜日

オーストラリアへ

 早朝にメルボルン着。約3ヶ月ほど過ごすことになる。まずは借りている宿泊先へ。ありがたいことに空港からのバス(Skybus)に一つが宿泊先であるSt Kildaで停車してくれるので、空港から40分ほどで滞在先へ。寒いのかと思いきやそれほどでもなく、雲一つない天気のせいか昼は初夏のようなさわやかさ。



2025年5月15日木曜日

読書傾向調査の資料集『読書調査の歴史と資料』

連休中に刊行した拙著『読書調査の歴史と資料』(樹村房)がそろそろ書店やオンラインでの購入サイトに。読書傾向調査を集めた資料、データ集で、参考図書としていろいろな人が利用しやすいよう価格もできるだけおさえた。



2025年5月11日日曜日

研究会、安積歴史博物館中学校資料調査

 安積歴史博物館の資料調査。今年から修士1年、2年それぞれ新たに調査に一人加わっての調査でした。初日は保管されていた大量の送辞や答辞の資料。単調かと思いきや戦前、戦後の変わり目の頃の資料が多く、その内容の変遷や時代色に濃さに飽きることがなかった。教師や生徒の日誌類の箱もあり、今回は本当に充実した調査でした。8月には調査の報告会を予定。




2025年4月9日水曜日

2024年度の卒業論文

研究室のウェブサイトで、昨年度の卒業論文のタイトル一覧と優秀作を公開しました。サイトの「学ぶ情報」をご覧ください。ちなみに昨年からホームページのアドレスがかわって、以下のようになっています。

和田敦彦研究室 https://a-wada.w.waseda.jp

2025年4月7日月曜日

安積歴史博物館へ

休館中の安積歴史博物館に、調査資料している資料の返却、そして受け取りにうかがう。始業式の前日で、東京は桜が満開だったがまだ郡山は開花まで今少しという感じだった。それでも穏やかな天気で資料の入れ替えはスムーズに。



2025年3月26日水曜日

卒業式

 今年の卒業式は晴れたのはよかったが3月というのに夏日という気温の高さでした。卒業生の皆さんおめでとうございます。16号館の前でゼミで集まっての集合写真。




2025年3月25日火曜日

ゼミ出身の編集者と

だいぶ以前のゼミ生で、今は成人向け漫画雑誌の編集長をつとめる平野さんと再会。出版規制のいわば最前線で仕事をしているので、教えられることが多々あった。ちなみに平野さんはゼミで卒論優秀作でホームページに掲載していたのだが、なんと名前を間違えて記していたので訂正しました。



2025年3月11日火曜日

上映会

同僚の五味渕さんがキャンパスで『蟻の兵隊』(2006年)の上映会を準備して、監督の池谷薫氏、横濱雄二氏、渡辺考氏を招いてのトークッションを企画するということだったので会場へ。映画はずいぶん前に見たが、作った側の池谷氏の話をぜひ聞きたいと思い、参加。予想にたがわず、描かれた奥村和一氏との具体的なエピソードや参加者とのやりとりはとても参考になった。



2025年3月2日日曜日

後藤静香記念館の合同調査

後藤静香記念館の合同調査。記念館ではここにしかない希望社の刊行物、関係資料を数多く所蔵をしてはいるが、高崎から車で40分ほどで、アクセスが難しいこともあって、資料を見たいという人たちを募って同館に行く調査ツアーをすることにした。参加して頂けた研究者の方々も多く、車2台を連ねての調査となった。



2025年2月16日日曜日

京都大学へ集中講義に

京都大学へ集中講義に。前回京都大学に集中講義できたのは5年前で、コロナがまさに広がり始める直前の時期だった。前と同じく清風会館に泊まった3日間の講義。大学院生たちとのやりとりは、こちらも刺激を受けることが多く、長いようでもやはり3日間はあっという間に終わってしまう。



2025年2月15日土曜日

高橋修さんの最終講義

高橋修さんの最終講義。先月は退職となる吉田司雄さんを囲む会があり、出席するつもりが当日に発熱して急遽休むことに。今日は無事に最終講義に参加。大変盛況で、たくさんの教え子たち、研究者の人達の姿も。



2025年2月2日日曜日

『リテラシー史研究』18号の刊行

今年も『リテラシー史研究』を無事刊行できた。今回で18号となる。目次は以下の通り。



西田昌之 旧制安積中学校同窓会・校友会誌における海外知の蒐集と利用 ——安積歴史博物館中学校資料の調査から——

松本泰明 旧制和歌山中学校蔵書調査について

和田敦彦 希望社関係資料の可能性 ——後藤静香記念館所蔵資料目録——

読書史料調査グループ 『泉の花』総目次

徳留琴李 西川満作品における芸旦・花娘表象

濱下知里 戦時体制下におけるラジオドラマの数量的・質的変化

須山智弘 1940年代の中京圏における雑誌と文化運動(1)  ——『あいち地方文化』(付・総目次)——


2025年1月24日金曜日

卒業論文報告会

 ゼミ3、4年生合同の恒例の卒業論文報告会。今年は3、4年合わせると50人近くになり、これまでで最多。教室がぎっしりでした。報告会の後で4年生は打ち上げのコンパ。みなさまお疲れさまでした。