15日からシンガポールとマレーシアの調査へ。まずシンガポールではシンガポール日本人会を訪れ、長く事務局長をつとめる杉野一夫さんから話をうかがった。同機関は日本人会としては規模も大きく、活動も活発だが、特に戦前、戦後の日系人アーカイブズに関心を向け、資料の保存や公開を行っていた点に驚く。図書館も大きいが、日本語図書の古書市も行っており、盛況とのこと。
17日にはシンガポール国立大学へ。中国図書館の司書であるTham Wai Fongさんから話をうかがった。
名称は中国図書館だが、日本語図書も豊富。Fongさんは慶応義塾大学で図書館学を学び、早稲田大学の図書館で研修していたこともあるという。シンガポール国立大学の日本語蔵書管理は行き届いており、北米の日本語図書館と比べても遜色ない。その意味では東南アジアの日本語図書館としては例外的な存在。
その日の午後に、日本人墓地公園へ。町から少し離れた閑静な住宅街にある。二葉亭四迷の碑も。
19日にシンガポールから、空路マレーシアのクアラルンプールに移動した。ここでもまず向かったの日本人会へ。巨大なショッピングモールのミッドバレー駅の近くにあり、日本文化センターも近辺にある。
日本人会の山下賢祐事務局長から聞き取り。図書館も6万冊規模のもので、もはや小さな公共図書館という感じ。ちょうど五〇年史の編纂が終わり、刊行の準備段階だった。
その後、マラヤ大学へ。東アジア研究科長のAsmadi Bin Hassanさんにまず会って聞き取り。最近の日本語図書はこの研究科の方で管理している。また、中央図書館の別館の東アジア図書館がキャンパスにはあり、そこにも五〇〇タイトル以上の日本語図書があった。古い時期の本も含まれているが、カード目録のみが存在。ここに日本語図書があるということを知る人、利用する人はほとんどおらず、かつていたと思われる日本語のできる司書の方はもはやいない状態。
22日にマレーシア日本文化センターを訪問。磯ヶ谷浩之さんから聞き取り。同図書館での資料では日本語教育に関する歴史情報が豊富だった。午後にはマレーシア国立大学に向かった。ただ、うまく連絡が伝わっておらず、後からメールでデータの詳細を送ってもらうこととなる。
国立公文書館にも回ってみたが、基本は英語での資料がほとんど。現地語の資料では、戦時期の日本のプロパガンダ出版物が興味深かった。
23日にはクアラルンプールからシンガポールにもどり、帰国前の時間を利用してJapan Creative Centreに聞き取りに行った。堀川光一さんから話をうかがった。