不二出版から『戦時期 早稲田大学学生読書調査報告書』を翻刻、刊行。戦時中に在学していた川越淳二による読書傾向調査をまとめたもの。戦時中に数多くなされていた読書傾向調査について論じた解説を付して刊行。手書きで遺されていたものだが、院生達による本文翻刻もあわせて収めている。
作家、思想家や書目のランキングが多様な分野にわたって調べられてもいる。
不二出版から『戦時期 早稲田大学学生読書調査報告書』を翻刻、刊行。戦時中に在学していた川越淳二による読書傾向調査をまとめたもの。戦時中に数多くなされていた読書傾向調査について論じた解説を付して刊行。手書きで遺されていたものだが、院生達による本文翻刻もあわせて収めている。
作家、思想家や書目のランキングが多様な分野にわたって調べられてもいる。
教育総合研究所の最前線講演会。今回は「オンライン授業の評価と方法」というテーマで、前回に引き続きオンライン授業をテーマに、より具体的な成績評価や授業評価の問題が扱われた。
大塚雄作「オンライン授業の評価と改善」
澤木泰代・原田哲男「授業成績評価に関する早稲田大学教育学部教員の意識調査 対面授業とオンライン授業を比較して」
守屋亮・松村香奈「オンラインEMI(英語による専門科目)の授業におけるタスクと学生の認識」
具体的な大学の授業に即したデータが多く興味深かった。こういうデータや報告をもとに多くの教員間で議論ができればきっと面白いと思うのだけれど。講演会の参加者数を増やしていくことも課題。
現在、研究会で取り組んでいる榛葉英治日記についての調査、研究に区切りがみえてきた。翻刻が終わり、また、調査にあたったメンバーの学会報告、研究会でのシンポなどを経て、それらの成果をまとめた研究書を出す予定。来春には刊行されると思うので、研究会としても次の研究対象を検討したいと思っていた。
夏に訪れた安積歴史博物館にその後、連絡をとり、資料の目録の補完や保存に協力しながら、研究をしたい旨、相談をし、やりとりをしてきた。10月1日には博物館を訪れ、整理を続けてこられた司書の方や管理にあたられてきた方からお話をうかがいながら、これからの活動について話し合う機会をもった。
その後、博物館を支えてきた公益財団の理事会でこちらでの調査について伝えて頂き、来年から調査を実施する方向でだいたいの了解を得ることができた。
関心のある研究者に呼びかけ、来年度から資料の調査に取りかかりたい。これはこれでとても楽しみ。
9月11日に諜報研究会でテーマ「南京事件研究の新たな視角」という講演会。毎日新聞社の伊藤絵理子氏は、ご祖父にあたる新聞記者伊藤清六の取材の道程をまとめた著作『清六の戦争』について報告。私の方は「近代文学の中の南京事件 榛葉英治『城壁』の誕生と忘却」と題して一緒に報告させて頂いた。
ただ、質疑、討議の仕方には問題があった。学会、研究会の議論の一番の土台は、発表者や参加者が、互いに情報や知見を提供、共有し合って、互いの研究を発展させていくこと。決して自分の考えや知識の一方的な主張や、逆に相手のそれの否定のみを目的とするものであってはならない。今回は残念なことに議論がこうした方向に行ってしまった。
ただ、特にオンラインの会合では、開催の仕方に応じて多様な領域、立場、背景の人々が参加することが当然起こりうる。こうした土台が共有されない場合が起こる際にどうすべきなのか、考えさせられた。
新型コロナウィルスのワクチン接種、7月7日に一回目。大学が職域接種を始めたため、早速申請。予約開始初日にオンラインで予約してこの日程。接種は特に混乱することもなく順調に進んでいる模様。学内の接種率が気になるところ。
教育総合研究所の講演会、今回はオンライン教育についての講演会。教育学部ではオンラインについて調査、検証するオンライン教育・研究グループが昨年暮れに構成されて、今回の講演会はそのグループの調査を軸になされた。外部からもオンライン教育に関する調査や実践をしている研究者を呼んで実施。ともかく目の前の問題でもあり、共感できる話も多かった。
人と接しないで出かけて遊べる、ということで屋外アスレチックへ。NOZARUというところへ車ででかけた。ハーネスをつけて樹上の経路をたどるのだけれど思った以上にハードで疲労困憊。気持ちよいけれどとにかく疲れた。
『リテラシー史研究』14号が刊行された。今回は11本。英文論文を含めてすべて横書きの投稿だったため、今回から全体を横組み、左綴じの形に変えた。
目次は以下の通り。
大岡響子 植民地台湾における内地刊行雑誌の受容に関する一考察 『赤い鳥』読者会員名簿を手掛かりに
伊藤遼太郎 『陣中倶楽部』における国策落語
中野綾子 陸軍恤兵部発行『陣中倶楽部』総目次および解題
〈国際会議報告〉
ベトナム社会科学院社会科学図書館和古書コレクション(フランス極東学院旧蔵書) その課題と可能性
和田敦彦 所蔵資料の多面性 戦前、戦中の日本の文化外交政策との関わりから
渡辺匡一 所蔵資料の蔵書構成 古典資料の収集方針について
Christophe Marquet The Hanoi French School of Asian Studies(EFEO) Library Collection of Japanese Books from the Edo and Meiji Periods: Perspectives on its Creation and its Relevance to the History of Artistic Heritage Studies
中野綾子 所蔵資料からみる日本研究の様相 洋装本の日本十進分類法(NDC)での分類から
小倉慈司 EFEO 旧蔵資料中の典籍写本調査への期待
ファム・レ・フイ 日本の漢訳大蔵経 忘れられたフランス極東学院の記憶の破片
河内聡子 金永鍵の収集資料の検討
海野圭介 歴史をデジタル化する 所蔵資料への一つのアプローチ
1月23日に早稲田大学国語教育学会の以下の冬期例会がオンラインで開催された。
榎本隆之氏
「コロナ後の国語科デジタルコンピテンシー メディア・リテラシーと学習者・指導」
三尾忠男氏
「オンライン授業におけるアクティブ・ラーニングの実践と課題 大学教職授業での実践と学生アンケートより」
ただ、この日は教育総合研究所が行っている公募研究の成果報告の日でもあった。
というわけでともにオンライン開催だったので、二つの端末で参加し、視聴。
昨年改訂、出版した拙著『読書の歴史を問う』で、内田魯庵「破垣」について「この小説が、「風俗壊乱」の理由によるのか、「安寧秩序妨害」の理由によるのかは、今もってはっきりしない。」(153頁)とあるが、当時の「官報」に「風俗ヲ壊乱スルモノト認メ」とある。
発禁資料を調べる際、まず「検閲」と「調べ方」という二つの言葉で検索をかけることをすすめている。現在では国立国会図書館のリサーチナビに容易にたどり着き、よくできているサイトなので説明が大幅に省ける。
戦前期の検閲の場合、今ではリサーチナビで以下のように説明がある。
4-1発禁処分の事実関係を調べられる文献
官報(大蔵省印刷局[編])
1888年11月から1910年6月まで、「出版物発売頒布禁止」の告示を掲載しています。
現在では「官報」電子資料へのリンクまではられており、参照も容易。
「破垣」は『文芸倶楽部』の1901年1月号なので1月の官報を見ると7日の官報、「司法及警察」の「発売頒布停止」の項目に「風俗ヲ壊乱スルモノト認メ」とある。
この作品については昨年刊行された日比嘉高氏『プライヴァシーの誕生』(新曜社、2020年)でも扱われており、ちゃんとこの資料が引かれている。
拙著は昨年改訂版を出したものの、この部分が以前のままで誤っているので訂正したい。