2013年12月31日火曜日

沖縄での調査

 18日に那覇へ。占領下沖縄での書物流通についての調査。沖縄で古書店事情に詳しい佐藤善五郎さんに再度会って聞き取り。19日には沖縄教科書供給株式会社を訪問、会長の金城誠心さん、社長の仲村広司さんから聞き取りを行った。少し時間に余裕があったので行ったことのなかった健児の塔や南冥の塔を回る。


子どもたちと忘年会

15日に自宅で忘年会。友人のふた家族がそれぞれに子どもをつれて遊びに。子どもっておもしろい!

フィリピンでの調査

 12月はフィリピンでの調査を行う。1日からマニラで調査をはじめた。まず向かったのはマニラ日本文化センター。フィリピンでの各大学の日本研究は、日本文化センターと連携した研究プロジェクトも多く、フィリピンのこれまでの日本研究の成果が効率的に理解できる。所長の高取秀司さんからは、同機関の図書館についての情報をもらった。
 3日にはフィリピン大学へ。アジアセンター図書館のTacs G. Landaさんから話をうかがうことに。とはいえ、英語文献が中心で、日本語図書については管理や収集が難しい状況だった。中央図書館のアーカイブズには占領期の日本関係印刷物が所蔵されており、そちらでの調査もあわせて行った。


 4日にはアテネオデマニラ大学へ。リーサル図書館で、図書館長のVernon R. Totanesさんと会う。彼は図書館史、書物史の研究者でもあったので、書物史でそのうち一緒にパネルでもやろうという話に。日本語図書についてはリーサル図書館の他に、別の棟の日本研究所にもかなり収蔵されていた。この大学の日本研究はフィリピンでもっとも長い。所長の永田博子さんから、日本学の展開や日本語図書の状況について情報収集。
 5日は午前に日本人会を訪れ、高田美樹さんに調査に協力してもらった。やはり人脈という面では日本人会は豊富で、情報収集にはとても役立つ。午後はデラサル大学に向かった。図書館長のAnna Maria Fresnidoさんと会合。


図書館は新築で引っ越しが完了したところ。日本研究で英語文献が主なのは他大学と同様だったが、図書館のスペースに新たに日本学セクションを作ろうと意欲的。東南アジアでの調査は交通に大きく左右される。マニラの場合、電車で効率的に移動できるので、訪問機関を加えたり、機会を調整するのも比較的楽だった。

2013年11月30日土曜日

インドネシアでの調査

 11月にインドネシアでの調査を実施。1日から調査でジャカルタへ。2日に日本人会、ジャカルタジャパンクラブを訪れ、吉田晋さんから聞き取り。日本人会での調査はここがはじめてだが、それぞれの国と日本との経済関係や、これまでの関係史が色濃くうかがえる日本人会での調査は、日本文献の情報を含めていろいろな意味で参考となることを痛感。
 ただ、調査の疲れがたまっていたためか、この調査を終えた時点で腰痛が悪化、ぎっくり腰状態となってそのままホテルで寝込む。以降まる2日間ベッドから動けず。水だけですごすことに。
5日の火曜、ようやく立てるようになった。この日はインドネシアの祭日。6日は当初の予定通り、インドネシア大学に調査で向かった。


 司書のYeni Budi Rachmanさんと会う予定だったが、急遽仕事が入ったとのことで、必要な情報を文書でもらうとともに、かわりに日本研究所リサーチャーのRohmiatiさんが応対してくれた。これはこれでラッキーだった。Rohmiatiさんはここで日本学を学んできており、先生にあたるSiti Dahsiar Anwarさんを紹介してもらった。Anwarさんは60年代にここで日本学を学んだ第一世代の方で、今もインドネシア大学の役職にあり、この大学の日本研究の歴史に詳しい方だった。



 腰痛をかばいながらの調査で、再発しないよう細心の注意をはらいつつ動く。もともと腰痛にならなければ8日にジョグジャカルタに移動して、ガジャマダ大学を訪問、調査する予定を組んでいたが、断念。
 かわりに、腰痛で寝込んでいた日に訪問予定であったジャカルタ日本文化センターを訪れ、後藤愛さん、司書のスーザンさんから聞き取り。当初の予定では国立図書館に行く予定はなかったが、ジャカルタでの時間があまったのでそこに向かった。これはこれで幸運だった。アポ無しで訪問したのだが、たまたま対応してくれた司書のアナイスさんが貴重書担当、戦中から保存しているかなりの量の日本語図書があることがわかり、直接書庫に入れてもらい、それらを調査することができた。何が吉とでるか、本当にわからない。


2013年10月31日木曜日

ベトナムでの調査

 2013年10月にベトナムでの調査。1日からベトナムのハノイへ。到着の翌日、午前中に国際交流基金ベトナム日本文化交流センターに向かい、吉岡憲彦さんから日本研究情報の概要をうかがった。午後に、ベトナム国立図書館へ。司書のLe Thi Thu Trangさんの協力を得て、館長のPhan Thi Kim Dzungさんと会合を持ち、同館での日本語蔵書について情報収集。大変あたたかく迎えて頂き、感謝。


 3日にベトナム社会科学院へ。ベトナムでは大学は教育の機関としてあり、研究の機関は別にある。ベトナム社会科学院は、その中心的な研究機関。いくつかの研究所がそこに入っており、日本研究は東北アジア研究所が行っている。まずその研究所長のDao Viet Hungさんから聞き取り。
午後には同じくベトナム社会科学院の研究所、社会科学情報研究所へ。この研究所長のホシキさんからは、事前にメールで戦前の日本語蔵書が相当あるということをうかがっていた。実際にそのとおりで、和装本を含めて膨大な蔵書をもっているが、ほとんど研究がなされていないとのこと。同研究の方達と3時間にわたって会議、今後の調査協力のプロジェクトを練っていくこととした。通訳にはNguen Duong Do Quyenさんがあたってくれた。


 大学ではベトナム国家大学ハノイ人文社会科学大学と連絡をとっていたが、担当の方が休業中。そのかわりにハノイ外国語大学で聞き取り。また、ハノイ貿易大学にはJICAが支援していたベトナム日本人材協力センターがあり、日本語文献を提供しているとのことだったので訪問、同機関の谷上聖子さんに案内をしてもらい、話をうかがった。
 その後、ハノイからホーチミンへ。ホーチミンではホーチミン国家大学人文社会科学大学に向かい、その日本学科でNGUYEN TIEN LUCさんから聞き取り、その後、図書館長のアンさんから日本語蔵書についての詳細をうかがった。

2013年9月30日月曜日

タイでの調査

 2013年の9月にタイで調査。バンコクではチュラロンコーン大学へ。事前にうちあわせてあったカンランヤニー先生に案内をお願いした。彼女はタイの日本語教育の草分け的存在で、彼女の教え子はタイの日本学、日本語教育分野で数知れない。


日本語図書館は中央図書館ではなく人文学部の図書館にまとめて配架しており、調査はしやすかった。ちょうど大学に近い宿にいたため、歩いてキャンパスまで行き来できた。たまたまチュラロンコーン大学を訪れた折に、奈良教育大学の日高佳紀さんが教えに来ていた。さっそく連絡をとって夕食をともに。
 次に向かったのはタマサート大学のランシットキャンパス。バンコクの北、40キロほどのところで、車で向かった。日本語教育を担当しているスーニーラットさん、桃井菜奈恵さんから話をうかがうことに。チュラロンコーン大学とともに日本学では実績をもつ大学。2011年の洪水でキャンパスも被害を受けた。中央図書館はリニューアルされ、日本語図書もそこに収められている。ただ、図書館スタッフと連絡をとっていたなかったために日本語蔵書についての情報が十分得られなかった。
 バンコクにもどり、国際交流基金の日本文化センターで追加の情報収集にあたった。坪井紀子さん、それにThirawat Arayarungroteさんから、同機関の図書館の情報を提供して頂いた。タイは日本人会の歴史も古く、刊行物も出している。今回の調査日程では難しかったが、次回調査では是非訪れたい。
 次にシラパコーン大学のサナームチャン・キャンパスへ。バンコクの西、50キロほどのところに位置。図書館司書のSompong Misstaさんから状況をうかがう。規模の小さい日本語蔵書ではあったが、蔵書の詳しい情報は、図書の管理者から聞き取りをすることが一番効率的であることがわかった。
 バンコクから、空路で次にチェンマイに向かった。チェンマイ大学の日本研究センターで、中井仙丈さん、サランヤー・コンジットさんから、日本語蔵書の現状についての詳細な情報を頂いた。日本語資料の活用も活発で、寄贈に来る学生達の姿も。
 

2013年6月22日土曜日

今月いっぱいで日本へ

こちらでの滞在もまもなく終了。こちらで調べていると、一方で日本で調べたいことも次から次へと出てくるので、頭の中の課題が山積み。来月からは国内での調査と、それに9月からは東南アジアの各地を調査で回ることになる。

夏期研究集会

国際学会「日本の書物の歴史 過去、現在、未来」が三日間にわたって開催。三日間、朝から晩まで報告が続いた。レベルの高い報告が多く、討論も活況で本当に充実した三日間。日本から参加した院生も報告も好評。会のサイトでプログラムや当日の写真が公開されている。それにしても早朝から、実際には学会後も皆で夕食、終わるのは夜中近かったので、へとへとに。コーディネータのエメリック先生は八面六臂の大活躍でした。
Histories of the Japanese Book: Past, Present, Future

キャンパス

カリフォルニア大学サンタバーバラ校のキャンパスには美しいビーチやラグーンがあり、散歩しているとうさぎやリスを見かける。米国の大学キャンパスは結構回ったが、こんなおとぎ話の国のようなキャンパスは見たことがない。キャンパスにはスケートボードの通行レーンも。



院生達と

毎週月曜にはこちらの院生に「日本の出版文化と読者」というタイトルで3時間ほど話をする。ここでの話を骨組みにして、読書の歴史研究についてのガイド的な本を練っていく。これまでにしてきた研究を、見直して、整理してみる。自身のテーマに深く関わっているのに細かく読んでいなかった本をチェックし直せるよい機会にもなった。

日々の生活

サンタバーバラは風光明媚、気候もよい。ここでは日本の出版文化史についての学会開催の支援、それに近代の読書を研究するためのテキストを自身でまとめる計画。朝大学図書館に行き、昼食後は車で山に行ってランニング、大学へ再びもどって夕方まで図書館という日々。写真は中央図書館にあたるデビッドソン・ライブラリとよく走りに行くトレイル。図書館は5階がアジア図書館、2階にはアジア系アメリカ人コレクションがある。
 
 

近辺の大学への調査

サンタバーバラからロサンゼルスは渋滞がなければ車で2時間半くらい。着いて早々UCLAに調査をかねて車で行ってみた。といっても渋滞はあるし、宿も調整しなくてはならず、なかなか簡単に行ったり来たりというわけにもいかない。

サンタバーバラ到着

滞在先はサバティカルホームズ・ドットコムというところで見つけ、部屋の持ち主とメールをやりとりして部屋代はあらかじめ国際送金。場所はHope Runchというところで近くには乗馬に注意の標識が。町から遠く、車が不可欠。招聘してくれたエメリック先生に手伝ってもらい、初日はレンタカーや保険の手続き、家主への挨拶など、生活準備を整える。



サンタバーバラ滞在

4月から6月にかけてのカリフォルニア大学サンタバーバラ滞在もあとわずか。こちらでの生活を振り返ってのブログ更新です。

2013年3月18日月曜日

信州大学で


信州大学時代にお世話になった渡辺秀夫先生がめでたく退官。16日に最終講義と教え子達の同窓会を兼ねた記念の会とがあった。最終講義は2時間に及ぶ講義をみっちりと。懇親会は大盛況。久々に私もなつかしい教え子達に会えました。

2013年3月9日土曜日

『リテラシー史研究』第6号合評会



リテラシー史研究会の『リテラシー史研究』第6号が完成、9日に合評会を行った。本来合評会は4月に行っているけれど、4月からサバティカルのため、前倒しして3月に。メールやお便りでのご感想もたくさん頂きました。御礼申し上げます。来年度からは、合評会の日をあらかじめ決めて雑誌と共に発送し、より多くの方々に参加できるようにしたいと計画中です。 今号の目次は以下の通り。
〈論文〉
大熊 達也 宮本武蔵作品の受容と再生
        近世から明治にかけて
森田 三咲 明治期の小説作法
        作法書研究の前提と可能性
勝田 彩香 明治大正期のクリスマス受容
        クリスマス・サンタクロースの諸表象
石川 雄輝 明治期農事改良雑誌の衰退
        付・『日本農業新誌』
        第4巻~第8巻解題・総目次
柴田 希  映画と小説の異種混交メディア
        大正期映画物語本
〈資料室〉
中野 綾子 学徒兵への読書推薦
        「戦陣に如何なる書を携行すべきか」
        『三田新聞』アンケート一覧

2013年2月25日月曜日

図書館の仕事


来年度は特別研究期間となるため、昨年9月で図書館の副館長を役職からひかせていただいた。新たに副館長となったのは法学部のゲイ・ローリー先生で、初の女性、初の外国人の副館長。二年間という短い間だったけれど、図書館の仕事をしての印象などを図書館刊行の『ふみくら』に書かせて頂いた。 リンク先の図書館ホームページから読めます。

2013年1月21日月曜日

五十嵐日記刊行へ

五十嵐日記の翻刻が終了したが、資料的にも貴重で、かつ読んでいておもしろいので、出版企画を立て、出版社と相談。その結果、来年をめどに刊行する計画が進行中。五十嵐氏が若い頃神田で修行した時期を、当時の関係資料とともに本にできれば。この日は具体的な作成について話合い。

2013年1月13日日曜日

富山、氷見

富山から能登へとプライベートで旅行。東京は大雪とのニュースだったが、富山や氷見は雪もたいしてふらず、穏やか。富山といえば薬売り、写真は廣貫堂資料館。そしてのとじま水族館。